おやつく後記

日常のことなど思いつき

大雨の散歩道

なにも大雨の日に外に出なくても、という思いを振り切ってみた。

 

仕事で強制的なら考える余地などないけど、わたしは無職。出たくなきゃ出なくていい。ただ、今日はいきたい場所があったのと、人混みが嫌いなのでみんなが外出時を控える今日はいかも、というメリットを優先することにした。

 

外の世界は非日常だった。駅までのたった10分程度の道のりでさえ。

 

坂道は小さなせせらぎになり、配水管から大量の水が吹き出して滝のようになってる。全てを洗い流すような雨脚の強さに、わたしの溜まった汚れも削ぎ落としてほしいと思う。

 

水深の浅い川は怒涛の勢いで、生命の躍動感があった。この川はかつて大雨が降るとよく氾濫していたという。深く掘られてコンクリートで固められ、おとなしくせざるを得なかったとしても、元来の生命力は息を潜めているだけ。いつかこの勢いで人々の生活を脅かした流れを垣間見た。安全な場所から見下ろすわたしを嘲笑うかのようだ。

 

いつからか、雨も色気がなくなったなとかんじるようになったけど、その真ん中に身を置くと、これもまた地球の息吹きなんだと思う。降られてくる雨の粒を傘で避けながら歩くしかないわたしは小さな存在だった。

 

温室の中で過ごしすぎて鈍った心が少しだけ動いた。都会の中でも自然を感じることができる。そう思えた大雨の散歩道。