おやつく後記

日常のことなど

子どもへの高価なプレゼントの是非

甥っこにお高めの誕生日プレゼントを買った。

 

2年以上前からずっとほしいといっているのに、人気のおもちゃでどんどんプレミアがついて高騰してしまったらしい。発売当初の値段も少しだけ高かったからか、タイミングを逃したのか、姉夫婦が買うことはなかった。

 

わたしが昨年の誕生日に欲しいものを聞いたとき、そんなことは全く知らなかった。比較的お手頃価格のおもちゃがほしいというので、それをプレゼント。大本命の例のおもちゃは名前すら出さなかった。

 

姉夫婦にさんざんいわれたのだろう、甥っ子は「高いからどうせ買ってもらえないでしょ」とすでに諦めていたのだ。

 

去年の時点で、そのおもちゃが欲しいと正直にいわれたとして、わたしが買ってあげたかはわからない。ただ、小学生に気をつかわれて、欲しくもないおもちゃを買ってしまったのかと思うとむなしくなった。実際、去年の誕生日に欲しいといったのをあげたのに、そんなに喜んでいない気がした。優しい子なので「うれしい」とは言ってくれるのだが。そうか、本命は別だったからか。

 

まだそのことを知らないクリスマスの頃、甥っ子に「買うかどうかは別として、なんでもいいよ、っていわれたら何がほしいの?」と聞いた。すると「どうせ買ってもらえない」となかなか口に出そうとしない。それでもしつこく食い下がったら、やっと本命のおもちゃの名前を出した。しかし姉は「プレミアついてるやつはダメよ」という。プ、プレミアだと?

 

ネットで調べたら確かに高かった。定価の倍以上の値段だ。

 

正直、迷った。今年だけ特別に買ったとして、これがいつでもOKと思われても困る。でも、甥っ子は高いから欲しいのではなく、ずっとほしかったものが高くなってしまっただけだ。でも、ここで買ってしまうのは教育的に良いことなのか? でも、買ってあげそうな雰囲気を出していたくせに、ここで買わなければわたしの信頼はなくなるだろう。。諦め癖に拍車をかけてしまうことにもなる。うぅ、どうしよう。

 

迷ったまま決断すると自分が後悔しそうなので、どこか落としどころをつけるために、結構考えた。買うにしても、買わないにしても、自分が心から納得できる答えが欲しくて。そして良い答えが浮かんだ。

 

今回のおもちゃは、子どもへのプレゼントとしては確かに高い。でも、自分のためなら簡単に使える金額だ。2年たっても欲しい気持ちが変わらない、小学生へのプレゼントに使う方がよほど価値があるのではないか? このおもちゃが将来につながる何か良い刺激になるかもしれない。そうでないとしても、欲しいものは手に入る、って信じてほしい。諦めグセをつけてほしくない――。

 

ここまできて、「あ、全然余裕で買えるわ」とすんなり思えた。

 

 

思い立ったら即行動。あらゆるサイトを比較して、少し値段が下がっているときに買った。

 

それから一か月。購入した価格よりすでに上がっていた。怖。

 

もし甥っ子が「やっぱりいらない」といったら、どっかで売ろう。2年間ずっとほしいといっていたとはいえ、子どもの気持ちなんていつ変わるかわからない。

 

 

すると、姉から連絡が来た。甥っ子へのプレゼントが被らないようにしたいので何を買ったか教えてといわれ、例のブツを買ったことを伝えると驚愕していた。「あれ、〇万円でしょ!?」「いや、さすがにそんなに高くない」などの会話を一通りする。

 

それはいいとして、「郵送しようかな」というと「それはダメ。今度いくわ」と姉はいった。

 

甥っ子宅からうちは電車で1.5時間ほどかかる。遠くはないが近くもない。姉夫婦の休日が平日だったり、甥っ子きょうだいがお稽古などで忙しいため、うちに来るのは3か月に1回あるなし、というところ。

 

それで、高価なプレゼントと聞いたとたん、来るといわれても全然うれしくない。明らかにプレゼント目的じゃん。

 

姉夫婦は真面目なので、高いものを買ってくれたのだからお礼を兼ねて顔を見せるべき、という考えもあるようだが、プレゼントする身としては全くありがたくない。甥っ子自ら「行く」というのならともかく、親の命令で仕方なしに来られても困る。わたしはそんなつもりで買ったんじゃない。(てか、値段が安かったら来なかったりして。そういえば、去年は郵送だったけど、うちに来るとかいう話まったくなかった)

 

一般的には姉夫婦の教育方針が正しいのだろう。でも、本人の意図に反して頭を下げられるわたしが嫌なのだ。本心ではない「ありがとう」なんてクソくらえだ。昨年の誕生日プレゼントで甥っ子に気をつかわれたこと以上にむなしいだろう。わたしの顔を立てたいなら、子どもに気をつかわせるな、といいたい。

 

なにより甥っ子に、意に反してお礼をいうような人間になってほしくない。大人になったらそういうこともあるけど、できるだけそうじゃない方向に行ってほしい。どちらにしろ、今の時点で経験しなくてもいいことだ。

 

<欲しいおもちゃを「欲しい」といっていたら、叔母さんの気まぐれで買ってもらえた。やった、ラッキー!>

 

以上。でいいのよ。

 

甥っ子は年齢の割に大人びていて、賢くて察しもいい。そして繊細。人のいわんとしていることを敏感に感じ取り、それにこたえようとする。いい子だが、ストレスをためやすいタイプだろう。

 

だからこそ。

 

生きてたら、理不尽なこともあるかもしれない。

本音を隠さなきゃいけないこともあるかもしれない。

 

でもね。

ラッキーなこともある。

本音が自分を救うこともある。

そのためには、自分の欲を隠さないこと。

すぐにあきらめないこと。

 

素直でいたら、何も頑張ることなく願いが叶うこともあるんだよ、ってこと。

 

 

そういう経験を少しでもさせたいと思った。

何か感じてくれたらうれしい。